セクシーでも中身は純真無垢。上半身裸なのは温度が上がると溶けるからだ NETFLIXーSLATE

<ネトフリ今年のクリスマス映画は、筋骨隆々の雪だるまが超献身的なヒーローに変身するラブコメ。見事に割れた腹筋がスパイスに>

毎年ホリデーシーズンには、グリーティングカード大手ホールマーク系列のケーブル局ホールマーク・チャンネル(Hallmark Channel)をはじめ、テレビ局や映画会社がこぞってクリスマス映画やドラマを公開する。今年はネットフリックス(Netflix)が、居並ぶライバルを出し抜いてこのジャンルで大健闘している。

既に2作のオリジナルのクリスマス映画がネットフリックス全米視聴ランキングのトップを飾った。その1つがソーシャルメディアでプチバズり中の『スノーマンに恋して(原題:Hot Frosty)』。


「この映画が受けるってことは、女性たちは相当お疲れなのかも」と、ちょっと心配になるようなラブコメだ。

⛄雪像にマフラーをかけたら命が吹き込まれた...? | スノーマンに恋して | Netflix Japan

レイシー・シャベール(Lacey Chabert)演じるキャシーは夫を癌で亡くして生きる気力を失い、家の暖炉が壊れていても修理を頼もうともしない。小さな町の中心部にある庶民的なレストランを経営しているが、店はそこそこ繁盛しているものの、彼女は魂の抜け殻のよう。

そんな生活が一変したのは、古着ショップを経営する年上の友人のおかげ。彼女は「外に出れば、いいことがあるわよ」と、キャシーに赤いマフラーをプレゼントする。

キャシーはそのマフラーを夜の通りで見かけた筋骨隆々のおかしなスノーマンの首にかけてやる。雪だるまにしては妙に手が込んだこの雪像は、町主催の「雪の彫刻コンテスト」に誰かが出品した作品だ。

キャシーが去った後、雪像の周りがキラキラ輝き、あーら不思議、スノーマンは人間に変身。そう、カナダの人気ドラマ『シッツ・クリーク(原題:Schitt's Creek)』でイケメン獣医を演じたダスティン・ミリガン(Dustin Milligan)の登場だ。

TED! #SchittsCreek pic.twitter.com/T8i3xCFwlD

— Schitt's Creek (Pop) (@SchittsCreekPop) April 5, 2018

同ジャンルを今後量産?

Hot Frosty | Lacey Chabert | Official Trailer | Netflix

この映画でミリガンは腹筋が見事に割れた上半身を惜しげもなく披露する。このジャンルの通によると、そこが並のホリデー映画と一線を画す「ちょっとしたスパイス」になっているのだとか。

古着ショップで手に入れた作業着に縫い付けられた名前から、ジャックと名乗るようになったスノーマンは、自分に命を与えてくれたキャシーにどこまでも忠誠を尽くす。


雪像が生身の人間になったことについてはツッコミどころ満載だが、「細かいことには目をつぶってね」というのがこの映画のお約束だ。

ロマンス小説界隈では、ヒロインを献身的に支える心優しいヒーローは「シナモンロール」タイプと呼ばれる。『アナと雪の女王(Frozen)』のクリストフがその代表格だが、それにしてもジャックは極端すぎるシナモンロール男だ。

純真無垢で善意の塊。テレビを見てやり方を学んで、屋根の修理も料理もこなす。温度が上がると溶けて消えるはずだったジャックは、最後にはめでたく本物の人間になって、キャシーと共に新しい人生に踏み出すことに......。

自分の手で暖炉を直したことから分かるように、キャシーはもう大丈夫。生まれたての赤ちゃんのような男の面倒を見て、恋に落ちたことで生きる気力を取り戻したのだ。

この展開にX(旧ツイッター)などでちゃちゃを入れる向きもあるが、割れた腹筋好きやクリスマス映画好きのネットフリックス視聴者にこの映画が受けたことは確か。

ヒットに味をしめたネットフリックスは今後もこの手のホリデー映画を量産するだろう。次作のヒロインは感謝祭のパンプキンパイにマフラーをかけて、アフリカ系かラテン系のイケメンに恋することになるのかも。


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