聖武天皇(在位724~749)の即位から1300年となる今年、奈良市・平城宮跡の南で出土した同天皇の大嘗祭(だいじょうさい)に関する大量の木簡から、「神御茵(かみのみしとね)」と書かれたものが見つかった。現在の大嘗宮にも設けられる「神座」に関わる可能性があるものとして注目されている。

 今年2月、奈良文化財研究所が平城宮朱雀門跡の東南で進めていた発掘調査で、大型土坑(穴)から約2600点の木簡が出土。書かれた文字には「大嘗分」や「神亀元年(聖武天皇が即位した724年)」のほか、平安時代の法令集に書かれた大嘗祭の供え物と一致する食材名が多数見つかり、聖武天皇の大嘗祭に関わるものと推定された。

 その中に「神御茵」と書かれた木簡が2点あった。どちらも荷物にひもでくくりつける「付け札」で、3文字のすぐ下で折れており、他に文字はなかった。

 「茵」は座ったり寝たりする際に使う敷物。平安時代末の文献によると、大嘗宮正殿には「寝座」と「短帖(みじかだたみ)」の二つの神座が設けられるといい、それに関係する木簡の可能性がある。

 2点の「神御茵」木簡は平城宮跡資料館(奈良市佐紀町)で開催中の特別展「聖武天皇が即位したとき。」で、前後期に1点ずつ展示される。奈文研の山本崇・歴史史料研究室長は「展示することで、研究者も含めて多くの人に見てもらい、解釈のヒントが得られれば」と話している。

 同展は12月8日まで。月曜(祝日の場合は翌火曜)休館、入館無料。(今井邦彦)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。