江戸時代の人気長編小説「南総里見八犬伝」が、鳥取県とゆかりが深いことはご存じだろうか? 映画「八犬伝」が25日から全国公開されるのに合わせ、地元も盛り上がりをみせる。
八犬伝の原作者は滝沢(曲亭)馬琴。安房(千葉県南部)などを舞台に、「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の一文字ずつの霊玉をもった八犬士が、安房の大名である里見氏の家臣となり、あるじの危機を救う物語だ。
里見家は実在し、安房の大名だったが関ケ原合戦からしばらく後、突如、伯耆国倉吉(鳥取県倉吉市)に国替えとなった。当主忠義は不遇の中、29歳で亡くなった。8人の家臣は殉死後、「八賢士」と称され、墓は倉吉市の大岳院にある。これが馬琴の八犬伝のモデルとの説がある。
八犬伝は江戸時代には歌舞伎で上演されるなど人気を呼び、明治以降は何度も映像化された。
映画「八犬伝」(曽利文彦監督)は、里見家を救う八犬士の活躍とともに、長い時間をかけて原作を執筆した馬琴の苦労や葛藤も描いていく。馬琴は役所広司さんが演じる。
倉吉市では八犬伝をまちおこしにつなげようと、約40年前から里見まつりを開催。八賢士らに扮した時代行列や打吹童子ばやしのステージイベントなどを行っている。
今回の映画公開を機に、倉吉観光MICE協会などでは「倉吉歴史探訪」を刊行。A4判18ページで、里見家と倉吉の関係、市内にある里見家ゆかりの地を紹介するほか、倉吉の歴史、観光地なども特集している。
映画公開日の25日からはスタンプラリーも実施。市内の観光名所・白壁土蔵群にある施設8カ所をめぐると、八犬伝にちなんだ浮世絵が完成するという。
同協会の松田謙治さんは「倉吉が里見家や八犬伝とゆかりの深いことを知らない市民も少なくない。映画公開をきっかけに倉吉で八犬伝の世界に触れていただければ」と呼びかけている。問い合わせは同協会(0858・24・5371)へ。(斉藤勝寿)
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