NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで外部スタッフだった中国人男性が、尖閣諸島を「中国の領土」などと原稿にない発言をした問題で、総務省は11日、情報流通行政局長名の文書でNHKを注意する行政指導をした。

 文書では、放送法に基づいてNHKが定めている国際番組基準に抵触したと認定。「我が国に対する正しい認識を培うことによって国際親善の増進などを図る重要な役割を有する国際放送を担う公共放送としての使命に反するものであり、誠に遺憾である」と指摘した。

 総務省によると、NHKの番組関係での行政指導は、2022年に誤った字幕をつけて放送されたBS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」(21年放送)以来だという。

 出家詐欺を報じた「クローズアップ現代」(14年放送)の過剰演出問題では、15年に当時の高市早苗総務相が「厳重注意」をしている。

 行政指導を受け、NHKは11日、「放送法で定められた担うべき責務を果たせなかったという極めて深刻な事態であり、重く受け止めています。改めて、深くお詫び申し上げる」とのコメントを発表した。

 NHKは10日、この問題を受け、国際放送担当の理事の辞任などを発表。放送直前などに外部スタッフだった中国人男性が靖国神社の落書きのニュース原稿を読むことに抵抗感を示していたことを明らかにしていた。(宮田裕介)

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