将棋の藤井聡太王座(22)=名人・竜王・王位・棋王・王将・棋聖と合わせ七冠=に永瀬拓矢九段(31)が挑戦する第72期王座戦五番勝負(日本経済新聞社主催)の第1局が4日、神奈川県秦野市の旅館「元湯 陣屋」で指され、藤井王座が先勝した。

 王座は昨年まで永瀬九段が4期連続で保持したタイトル。昨年は挑戦者だった藤井王座が勝利し、史上初の八冠独占を達成した。

 今期はタイトル奪還をめざす永瀬九段と、初防衛をめざす藤井王座との再戦。藤井王座にとっては、作戦上でやや不利とされる後手番での1勝目で、幸先のいいスタートとなった。

 第2局は18日、名古屋市で指される。

 両者は「VS」と呼ばれる1対1の練習将棋をする研究相手で、互いによく知る間柄。藤井王座は3日の前日会見で「対局では自分自身のパフォーマンスが最も重要だが、永瀬九段には普段からVSで教えて頂いていて手の内を知られているところもあるので、作戦的にも工夫が求められる」と気を引き締めていた。

 前期の王座戦は永瀬九段から見て1勝3敗での失冠となったが、内容では永瀬九段が藤井王座をリードする場面が目立った。特に第3局と第4局では、永瀬九段が勝勢を築いた後に終盤の逆転で勝ちを逃し、悔いを残す敗戦となった。

 前日会見で永瀬九段は、前期敗退の衝撃の大きさを「私としては記憶がない時間がある」と表現し、「止まった時間というわけではないが、自分を前に進めるために一生懸命戦いたい」と語った。

 両者の公式戦成績は、藤井王座15勝、永瀬九段7勝。タイトル戦は棋聖戦(2022年)、昨年の王座戦に続き今回が3度目となる。(杉村和将)

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