兵庫県豊岡市の城崎温泉にある老舗旅館「西村屋本館」が、ミシュランが選ぶ「キーホテル」で二つ星にあたる「二つ鍵」を獲得した。三つ鍵から一つ鍵までの全国108施設のうち、県内で唯一選ばれた。西村総一郎社長(49)は「励みになります」と喜んだ。

 ミシュランは、世界中の特筆すべき宿泊施設を選んでガイドブックを発行している。

 その中でも卓越した施設について、星に該当する鍵(キー)マークで示す「ミシュランキーホテル」を新たに始めた。

 ミシュランの日本法人によると、評価基準は「ホテル自体が旅の目的地であり、その土地ならではの体験ができる」「素晴らしい建築とインテリアデザイン」「サービスの質、快適性、メンテナンスが行き届いている」など五つあり、全項目で特に優れていることが求められる。

 4月以降、フランスを皮切りにアメリカ、スペイン、イタリアで発表。日本は7月4日にアジア圏で初めて公表された。

 ミシュランガイドホテルセレクションに掲載されている243軒を対象に、覆面調査員が訪問、滞在して調査したという。「温かいおもてなし」「個性的な施設」などが際立っている宿泊施設として三つ鍵6軒、二つ鍵17軒、一つ鍵85軒の計108軒を選んだ。

 二つ鍵は「思い出に残る体験ができ、あらゆる点においてユニークで特別な宿泊施設」などと定義。西村屋本館については「(建物の一部が)国の登録有形文化財にも指定されている、紛れもない純和風旅館。洗練された和の設備、手の込んだ会席料理、静かで心休まる空間、昔ながらの伝統を守り続けている」などと評価している。

 7代目の西村社長のもとへは6月、ミシュランの日本法人からメールが届いた。「ミシュランキーホテルをプレス発表するので来てほしい」との内容で、上京し発表があるまで二つ鍵とは分からなかったという。

 西村社長は「西村屋のことを知らない国内外の人に認知してもらい、足を運んでもらえるならありがたい。世界中の方に城崎温泉を知ってもらえるならうれしい」と喜び、「長年支えてくれたスタッフ、お客さまに感謝したい」と語った。

 さっそくミシュランキーを見て泊まりに来たという海外客が2組いたという。(菱山出)

西村屋本館

 安政年間の1860年創業の純和風旅館。木造一部3階建てに計29室あり、収容人員140人。124平方メートルの特別室「本陣」をはじめ、一部の客室には露天風呂がある。朝食会場の「泉霊の間」には犬養毅元首相直筆の書が掲げられている。1泊2食付き4万6千円(税抜き)~。JR城崎温泉駅から徒歩約15分。問い合わせは西村屋本館(0796・32・4895)へ。

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