アイドルとして駆け抜けて――。今年2月に誕生した名古屋発の6人組「サクラ グラデュエーション」(通称クラグラ)は、3年後の卒業が決まっている。その「先」の芸能界以外のセカンドキャリアを意識しながら活動する中で、見えてきたものとは。

 オーディション番組から生まれた平均年齢19歳の6人組のダンス&ボーカルガールズグループ。2027年のサクラが咲く頃に卒業(グラデュエーション)するため、「サクラ グラデュエーション」と名付けられた。先の見えない不安を払拭(ふっしょく)するため、3年間の計画も立てられた。

 計画は全国7大都市ツアー、10カ国以上を目標にライブによる海外展開、全国ツアーライブ……そして、3年後に卒業する。それらは「前代未聞」の発表としてこれまでメンバーに告げられてきた。

 所属するフォーチュンエンターテイメント(名古屋市)社長の谷口誠治さん(65)は5月末、2枚目のシングル「CANDY TOWER」(8月27日リリース)のお披露目会で、「(活動中に)セカンドキャリアを持ってほしい」と述べた。

保育士に料理家…それぞれが描く「次」

 谷口さんは菅野美穂や要潤らを発掘、今年結成14年目になる男性アイドルグループ「BOYS AND MEN」の生みの親で、名古屋のエンタメ業界を中心で支えてきた。

 「時代が変わって、『SDGs』といった言葉も出て、持続可能な世界をつくろうとしているにもかかわらず、この業界は後退している」と語る。特に問題視するのはアイドルなどを卒業した後の「セカンドキャリア」だ。十分に顧みられていない現状がある。

 クラグラはセカンドキャリアを見つけ、次のステージに上がっていけるように、と考えた。「セカンドキャリアへの意識があれば、アイドル活動という夢に対して、思いっきり走り続けることができる。新たなアイドルグループの形を目指したい」

 谷口さんの思いを聞き、Aira(16)は「一生、芸能界でやっていくぞ、と考えていた。けがなどで続けられないこともある中で、未来を考えながら行動することは大事」と話し、幼い頃になりたいと思っていた「保育士」の夢もあきらめなくていいと気づいたという。メンバーからは、フラダンサーやモデル、介護福祉士、料理家といった現時点で考えたセカンドキャリアがあがった。

 事務所は「例えば、保育士では資格取得の学習や職業体験の機会をつくりたい」とキャリア支援も考えている。リーダーのMirei(23)は、「夢を諦めるためのセカンドキャリアではなく、『一生、君たちを大事にする』という意思表示に感じた。だからこそ3年間本気で活動したい」。(小原智恵)

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