ケイティ・ペリー(2019年6月、ロサンゼルス) DFree-Shutterstock

<星条旗をモチーフにした極小ビキニで「ロージー・ザ・リベッター」を体現する姿に批判の声が続出。本人の語る創作意図とは?>

歌手ケイティ・ペリーが7月11日にリリースした待望の新曲「Woman's World」が、「時代遅れ」「ビデオが性的」と酷評されている。

【画像】【動画】弾ける谷間、お尻にガソリン...「極小星型ビキニ」姿のケイティ・ペリーが新曲MVで大暴れ

9月20日に発売される4年ぶりの新アルバム「143」からの先行シングルで、星条旗をモチーフにした星型の極小ビキニトップを纏って踊るセクシーなミュージックビデオ(MV)も公開。女性であることの素晴らしさを歌っているが、楽曲に込められた女性のエンパワーメントのメッセージは時代遅れと評され、「レディ・ガガの焼き直し」との声まで上がっている。

「It's a woman's world and you're lucky to be livin' in it(ここは女性のための世界で、そこに生きているのは幸運なこと)」の歌詞から始まる曲のMVでは、第二次世界大戦期に工場や造船所で働く女性たちを表す文化的アイコン「ロージー・ザ・リベッター」に扮したケイティが、露出度の高い衣装でバックダンサーと共に工事現場でパワフルに働く姿などが描かれている。

ウィスキーを一気飲みし、小便器を使う真似をするシーンまである。中盤、落下する金床に押しつぶされると、際どいビキニとロボットブーツ姿で復活し、飛行するヘリコプターのサイドにしがみつくなど大暴れする。

「男性目線のMV」「あなたも成長すべき」と辛辣コメント殺到

2020年に婚約者のオーランド・ブルームとの間に愛娘を授かったケイティは、「母親として女性らしい神聖さを解き放つという超越的な経験」をしたことがこの楽曲を作るきっかけになったと語っていた。

「自分の人生が祝福されていると感じ、自分の中の女性的な部分に共感してほしい」と話していたが、「女性のエンパワーメントに関する歌詞と性的イメージが結びつかない」との批判が殺到。

ヒラリー・クリントンが2016年の米大統領選でロージーのイメージをキャンペーンに利用した時代ならまだしも、2024年の今は驚くほど時代遅れに聞こえるとの声もあり、「安っぽく、くだらない」「男性目線で作られたMV。女性のエンパワーメントではない」「あなたのファン層はもう14歳ではない。私たちは成長した。あなたも成長すべき」などの辛辣なコメントがネットに溢れている。

さらに、歌手ケシャから性的暴行で訴えられたプロデューサーのドクター・ルークとコラボしたことも、火に油を注いでいる。「女性を虐待する人がプロデュースした女性のエンパワーメントに関する曲」「ルークと組むという無知な選択で、曲のフェミニスト的なメッセージの信憑性が失われた」「聖なる女性性に敬意を表す偽フェミニストの寄せ集め」「女性に力を与えると主張しながら、ルークと仕事をしている。

女性を解放したいと言いながら、男性向けのMVを作っている。すべてが進歩的な理想に反している」などと非難され、ネットは炎上。楽曲を売るために裸になる必要があるのかとの批判にも晒されている。

批判を受けたケイティは、「何でもできる!風刺さえも」とキャプションを添え、撮影現場でバックダンサーを前に「ちょっとした皮肉のつもりで楽しんでいる。とてもドタバタ劇で、大げさで露骨にやっている。男性の視線を体感しているのではなく、男性の視線そのもの」と創作意図を語る動画をSNSに投稿した。

続けて「私たちはこれから叩きのめされるので、これはリセットのようなもの。女性の神聖さに対する私の考えのリセットで、この後私たちが行くのはまったく別の世界」とMVの後半部分についても言及しているが、まるでこの事態を予期していたかのようにも聞こえるため、反論と捉えられている。

[筆者]
千歳香奈子
北海道・札幌市出身。1992年に渡米し、カリフォルニア州サンタモニカ大学で写真を学ぶ。96年アトランタ五輪の取材アシスタントとして日刊スポーツ新聞社アトランタ支局に勤務。ロサンゼルス支局、東京本社勤務を経て99年よりロサンゼルスを拠点にハリウッドスターら著名人へのインタビューや映画、エンターテイメント情報等を取材、執筆している。日刊スポーツ新聞のサイトにてハリウッド情報や西海岸のトレンドを発信するコラムも寄稿中。著書に『ハリウッド・セレブ』(学研新書)。

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