東京で最初に生まれたカトリック教会が「150歳」を迎える。明治の初め、外国人が行き交う「築地居留地」に誕生し、「平民宰相」原敬、「日本近代法の父」ボアソナードら、歴史を彩った人物たちにも愛された。30日には「150歳」を祝うミサが開かれる。

 「カトリック築地教会」(東京都中央区明石町)は1874年に産声を上げた。77年には、教区を率いる司教が執務する「司教座教会」となり、約40年間、日本カトリック教会の中心だった。

 78年には、大きなばら窓のあるゴシック様式の聖堂が完成した。国内法整備に貢献したフランス人法学者ボアソナードが、銅製の鐘を贈り、完成を祝う式に参列した、との記録が残る。

 この聖堂では、日本で初めて国際結婚したとされるオーストリア・ハンガリー帝国のクーデンホーフ伯爵と妻・光子が結婚式を挙げ、後の総理大臣、原敬が信徒として通う姿も見られたという。1923年の関東大震災で被災し、ボアソナードの鐘と聖人像などがわずかに残った。

 現在の聖堂は、震災4年後に完成し、第2次世界大戦でも焼失を免れた。古代ギリシャの神殿を模した木造モルタルの建物は、左官職人がこてで描いたバラなどの文様が浮かび上がる正面の破風が印象的だ。

 2000年代に入ると信者の数が減り、統廃合の危機もあった。今は、日曜日には、外国人観光客がミサに参列したり、伝統的建造物に興味を持つ人たちが訪れたりする。平日の日中には、近くの聖路加国際病院の患者や家族、近隣で働く人がふらりと立ち寄る、憩いの場所だ。

 教会の田中洋子さんは「日中は聖堂の扉をあけていますので、気軽に立ち寄っていただけたら」と話している。

 30日は午後0時半から、菊池功・東京大司教による150周年を祝う記念のミサが、開かれる。(魚住ゆかり)

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