藤井聡太名人(21)=竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ八冠=が挑戦者の豊島将之九段(34)に2連勝して迎えた第82期将棋名人戦七番勝負第3局(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛、日本空港ビルデング協力)が8日、東京都大田区の羽田空港第1ターミナルで始まった。相居飛車の将棋になり、後手番の豊島挑戦者が「雁木(がんぎ)」という形に組む趣向を見せた。開幕前から豊島挑戦者が志向していた力戦模様になりそうだ。

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 羽田空港で初めて指される名人戦。対局室は広々とした洋室。20枚の畳が敷かれ、その上に将棋盤などが置かれている。奥には金屛風が巡らされた。

 午前8時45分ごろ、豊島挑戦者が入室。同48分ごろ、藤井名人が入室。定刻の午前9時に対局が始まった。

 「窓も広く、景色も広々として新鮮。万全の準備をしていただいたと感じています。対局者も将棋に集中していました」と立会人の佐藤康光九段(54)。

 第1局と同じ、藤井名人の先手番。出だしの数手で、後手番の豊島挑戦者が意表の振り飛車を採用するかと注目されたのは第1局と同じ。ただし、豊島挑戦者が△8四歩(10手目)と飛車先の歩を突き、相居飛車に。

 その後、豊島挑戦者は雁木と呼ばれる陣形に組み、第1局とは異なる将棋となった。藤井名人の▲3五歩(21手目)で早くも駒がぶつかった。豊島挑戦者の△4五歩(24手目)で角が向かい合う形に。佐藤九段は思わず「すごい手ですね」と漏らした。

 副立会人兼解説者の佐々木勇気八段(29)は「雁木は予想された戦型の一つ。今シリーズのどこかで豊島さんが登場させる可能性があると思っていました。△4五歩の局面は、序盤としては、もう勝負どころかもしれません。後手陣の方が、まとめるのが難しい形で、豊島挑戦者がどう対応するかなどに注目しています」と話した。(佐藤圭司)

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